ランドセルの思い出
桜は満開、菜の花も水仙もチューリップも花盛り、すっかり春ですね
黄色い帽子に黄色のランドセルカバーの新1年生の子供たちが
楽しそうに小学校に向かう姿を見ると、ほのぼのした気持ちにさせられます。
ハルばあには、そんな子供たちの真新しいランドセルを見ると思い出す
ちょっとほろ苦い思い出があるんです。
それは40数年前の忘れもしない夏のある日のこと。
保育園の年長さんだったハルばあは、その頃大きな古い団地に住んでいました。
かなり降雪の多い土地柄のせいなのか
その団地は屋根付きの外廊下が広い中庭を囲むようにあり
その外廊下で何棟か繋がっているような形でした。
ある日、ひとりで外で遊んでいた保育園生のハルばあは
中庭の向こうに見える外廊下を歩いている女の子を見かけました。
どうやら小学生らしく、その女の子はランドセルを背負っていました。
そのランドセルがなんとキレイなピンク色だったんです。
その小学生はすぐ通りすぎただけだったんですが
背負っていたピンク色は、ハルばあの中にかなり強い印象を残し
自分も小学生になる時は、絶対にピンクのランドセル!と強く決心しました。
今でこそ何色もあって色々選べるランドセルですが
40年以上前の田舎では、女の子は赤、男の子は黒
それが当たり前で、それ以外の色は売っていなかったらしいのです。
だから当時のハルばあが「見た!」と思っている女の子のランドセルも
もしかしたら見間違えなのかも知れません。
でもまだ幼かったハルばあは、そんなことはわかりません。
今のようにTVでCMを見るわけでなし、デパートなんかめったに行けなかったので
ピンクのランドセルがお店で売っていないなど
当時のハルばあには知る由もありませんでした。
「ランドセルはおじいちゃんに買ってもらう」と思い込んでいたハルばあは
さっそく父方のおじいちゃんに手紙を書きました。
「おじいちゃん、絶対ピンクのランドセルを買ってください」と。
手紙を読んだ母は、そんな色は売っていないから
きっと祖父はごめんねと言いながら赤いランドセルを送ってくるだろう
そう思いながら、ハルばあの手紙を送ってくれたそうです。
ところが手紙を送られた祖父にとって、遠くに住んでいてもハルばあは初孫。
日頃なかなか会えない分、初めて言ってきたおねだりだから
何が何でも叶えてやろうと思ってくれたらしいのです。
しかしピンクのランドセルは、どこを探しても売っておらず
問屋に問い合わせても、やはり見つからなかったようです。
困った祖父はランドセルを作っている工房を捜し
革をピンクに染めて、ランドセルを作ってもらったらしいのです。
今になって考えると、完全オーダー品ですから
一体いくらかかったんだと、そら恐ろしくなりますが
おじいちゃんは初孫のたっての頼みと、そうとう無理をしてくれたようです。
そんな事とはつゆ知らず、届いたパステルピンクのランドセルを見て
6歳だったハルばあは大喜び!
さっそく「おじいちゃん、ありがとう!」のお手紙を書き
入学式前からランドセルを背負った写真をたくさん撮ってもらい
それを背負って小学校に行く日を指折り数えて待っていました。
そして待ちに待った入学式の日。
あんまり嬉しくて周囲の様子がまるで目に入ってなかったハルばあですが
教室に入りランドセルを置いた時に、ようやく気がつきました。
赤と黒以外のランドセルを持っている子は他にいないと…
その学校ではランドセルは教室の廊下側の壁に
並べてかけておくことになっていました。
赤と黒のランドセルの並ぶ中、ハルばあのパステルピンクの目立つこと。
思ってもみなかった事に、かなりのショックをうけていました。
そこにいたって、ようやくよそのお母さん方の「珍しい色ね~」の声が
耳に入ってきたハルばあ。
急にピンクがものすご~く恥ずかしくなってしまって
ランドセルをかけた壁を見るのも嫌になりました。
子供のハルばあの目に、さっきまでキレイだったピンクが
単なる悪目立ちにしか見えなくなってしまいました。
けれど子供ながらに、自分でおじいちゃんに頼んだ物ということは
ちゃんと理解していたので、今さら恥ずかしくてイヤだとは言えません。
親にも、もちろん祖父にも絶対「ピンクはイヤだ」と
言ってはいけない事だというのだけは理解していました。
でもその日から、ピンクのランドセルが憂うつの種になってしまいました。
そんな風に始まった小学校生活ですが
父の仕事の都合で、6年間のあいだに2回転校しました。
どこに行っても「ピンクのランドセルって初めて見た」と言われます。
私もみんなと同じく、赤いランドセルが欲しくてたまりませんでしたが
やはりこれも親に言ってはいけない事とずっと我慢していました。
本当に自分のランドセルが大嫌いで大嫌いで
一日でも早く壊れてくれないかと、けっこう乱暴に扱ったりしました。
でも丁寧に作られたランドセルは丈夫で壊れることはありません。
ただ色が薄いので、汚れと傷が目立つだけでした。
小学校を卒業した時に、表面がボロボロになったランドセルを捨てるのに
なんの未練もありませんでした。
そんなハルばあも大人になって、当時を思い出すとちょっと苦い気持ちになります。
祖父が無理をして買ってくれたランドセルをもっと大切にすれば良かったと…
みんなと違って恥ずかしいではなくて、もっと自慢の品として扱えば良かったと。
子供の浅はかさとはいえ、おじいちゃんの優しい想いを
蔑ろにしてしまった気がして、今さらながらちょっと自分が恥ずかしくなります。
もっとあのランドセルを大切にすれば良かった。
毎年この季節になると当時の苦い思いと共に、今は亡きおじいちゃんを思い出す
薄情な孫だったハルばあです。
黄色い帽子に黄色のランドセルカバーの新1年生の子供たちが
楽しそうに小学校に向かう姿を見ると、ほのぼのした気持ちにさせられます。
ハルばあには、そんな子供たちの真新しいランドセルを見ると思い出す
ちょっとほろ苦い思い出があるんです。
それは40数年前の忘れもしない夏のある日のこと。
保育園の年長さんだったハルばあは、その頃大きな古い団地に住んでいました。
かなり降雪の多い土地柄のせいなのか
その団地は屋根付きの外廊下が広い中庭を囲むようにあり
その外廊下で何棟か繋がっているような形でした。
ある日、ひとりで外で遊んでいた保育園生のハルばあは
中庭の向こうに見える外廊下を歩いている女の子を見かけました。
どうやら小学生らしく、その女の子はランドセルを背負っていました。
そのランドセルがなんとキレイなピンク色だったんです。
その小学生はすぐ通りすぎただけだったんですが
背負っていたピンク色は、ハルばあの中にかなり強い印象を残し
自分も小学生になる時は、絶対にピンクのランドセル!と強く決心しました。
今でこそ何色もあって色々選べるランドセルですが
40年以上前の田舎では、女の子は赤、男の子は黒
それが当たり前で、それ以外の色は売っていなかったらしいのです。
だから当時のハルばあが「見た!」と思っている女の子のランドセルも
もしかしたら見間違えなのかも知れません。
でもまだ幼かったハルばあは、そんなことはわかりません。
今のようにTVでCMを見るわけでなし、デパートなんかめったに行けなかったので
ピンクのランドセルがお店で売っていないなど
当時のハルばあには知る由もありませんでした。
「ランドセルはおじいちゃんに買ってもらう」と思い込んでいたハルばあは
さっそく父方のおじいちゃんに手紙を書きました。
「おじいちゃん、絶対ピンクのランドセルを買ってください」と。
手紙を読んだ母は、そんな色は売っていないから
きっと祖父はごめんねと言いながら赤いランドセルを送ってくるだろう
そう思いながら、ハルばあの手紙を送ってくれたそうです。
ところが手紙を送られた祖父にとって、遠くに住んでいてもハルばあは初孫。
日頃なかなか会えない分、初めて言ってきたおねだりだから
何が何でも叶えてやろうと思ってくれたらしいのです。
しかしピンクのランドセルは、どこを探しても売っておらず
問屋に問い合わせても、やはり見つからなかったようです。
困った祖父はランドセルを作っている工房を捜し
革をピンクに染めて、ランドセルを作ってもらったらしいのです。
今になって考えると、完全オーダー品ですから
一体いくらかかったんだと、そら恐ろしくなりますが
おじいちゃんは初孫のたっての頼みと、そうとう無理をしてくれたようです。
そんな事とはつゆ知らず、届いたパステルピンクのランドセルを見て
6歳だったハルばあは大喜び!
さっそく「おじいちゃん、ありがとう!」のお手紙を書き
入学式前からランドセルを背負った写真をたくさん撮ってもらい
それを背負って小学校に行く日を指折り数えて待っていました。
そして待ちに待った入学式の日。
あんまり嬉しくて周囲の様子がまるで目に入ってなかったハルばあですが
教室に入りランドセルを置いた時に、ようやく気がつきました。
赤と黒以外のランドセルを持っている子は他にいないと…
その学校ではランドセルは教室の廊下側の壁に
並べてかけておくことになっていました。
赤と黒のランドセルの並ぶ中、ハルばあのパステルピンクの目立つこと。
思ってもみなかった事に、かなりのショックをうけていました。
そこにいたって、ようやくよそのお母さん方の「珍しい色ね~」の声が
耳に入ってきたハルばあ。
急にピンクがものすご~く恥ずかしくなってしまって
ランドセルをかけた壁を見るのも嫌になりました。
子供のハルばあの目に、さっきまでキレイだったピンクが
単なる悪目立ちにしか見えなくなってしまいました。
けれど子供ながらに、自分でおじいちゃんに頼んだ物ということは
ちゃんと理解していたので、今さら恥ずかしくてイヤだとは言えません。
親にも、もちろん祖父にも絶対「ピンクはイヤだ」と
言ってはいけない事だというのだけは理解していました。
でもその日から、ピンクのランドセルが憂うつの種になってしまいました。
そんな風に始まった小学校生活ですが
父の仕事の都合で、6年間のあいだに2回転校しました。
どこに行っても「ピンクのランドセルって初めて見た」と言われます。
私もみんなと同じく、赤いランドセルが欲しくてたまりませんでしたが
やはりこれも親に言ってはいけない事とずっと我慢していました。
本当に自分のランドセルが大嫌いで大嫌いで
一日でも早く壊れてくれないかと、けっこう乱暴に扱ったりしました。
でも丁寧に作られたランドセルは丈夫で壊れることはありません。
ただ色が薄いので、汚れと傷が目立つだけでした。
小学校を卒業した時に、表面がボロボロになったランドセルを捨てるのに
なんの未練もありませんでした。
そんなハルばあも大人になって、当時を思い出すとちょっと苦い気持ちになります。
祖父が無理をして買ってくれたランドセルをもっと大切にすれば良かったと…
みんなと違って恥ずかしいではなくて、もっと自慢の品として扱えば良かったと。
子供の浅はかさとはいえ、おじいちゃんの優しい想いを
蔑ろにしてしまった気がして、今さらながらちょっと自分が恥ずかしくなります。
もっとあのランドセルを大切にすれば良かった。
毎年この季節になると当時の苦い思いと共に、今は亡きおじいちゃんを思い出す
薄情な孫だったハルばあです。
by haru2010yakei
| 2011-04-15 11:43
| 日記、雑記
グータラ主婦ハルばあの日常のあれこれを綴ってみました。
by ハルばあ
S | M | T | W | T | F | S |
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
31 |
カテゴリ
全体ご挨拶
お出かけ
日記、雑記
マイ ファミリー
イベント
スポーツ
お店
お散歩
山登り
お買い物
旅行
以前の記事
2016年 10月2016年 09月
2016年 08月
more...
フォロー中のブログ
今日も元気一杯!空の見えるベランダから
やっぱり旅が好き♪
恵♪♪♪
うじうじしない日記
雑食系(アラフィフ)女子帖
たかこキッチン
こけの実のひとりごと
とものひとりごと
想い出はセピア色に。。。
最新のトラックバック
検索
タグ
旅行その他のジャンル
最新の記事
ハルばあ、台湾に行く その3 |
at 2016-10-17 20:36 |
ハルばあ、台湾に行く その2 |
at 2016-10-11 22:07 |
ハルばあ、台湾に行く その1 |
at 2016-10-03 18:51 |
秋の味覚がいっぱい |
at 2016-09-12 20:31 |
夏の色々と秋の野望 |
at 2016-08-31 18:00 |